僕は先生を愛してます
「お前なんかしたのか?」
翔太が問う。
「なんもしてないよ。多分」
・・いや、絶対。
・・だって話すら
した事ないのに。
僕は翔太と別れ、職員室に向かった。
―職員室。
「松下先生いる?」
「松下先生・・居ないみたいだなぁ。多分、数学教室にいるんじゃないか?」
・・数学教室・・か。
―数学教室。
コンコンっ・・
ガラッ―・・
ずらっと並ぶ本棚。
・・凄い本の数。
「ってか、こんな部屋あったんだ」
周りを見渡しながら奥へと足を運んだ。
「誰もいないじゃん」
窓は開いたまま白いカーテンが靡く。
机にはぶ厚い本が開いて置いてある。
数学の本らしい。
・・これ・・。
「幸村君?」
振り返ると眼鏡をかけた松下先生が立っていた。
「先生、この本読んでるの?」
「え?あー、うん。知ってるの?」
「俺読みましたよ」
笑う僕に先生は“え?”とした顔で見る。
「その年で、こんな本を読んでるなんて凄いわね。」
風で先生の髪が靡く。
・・あ、きた。
・・ドクンっ
・・また始まった。
「先生、俺に話って何?」