僕は先生を愛してます
「先生・・」
「ん?」
「こっち向いて?」
「どうして?」
僕は芝生から少しずつ体を起こす。
「先生の顔が見たいから」
「なによ・・それっ」
「恭子さんっ」
僕は先生ではなく名前で呼んだ。
「えっ?」
同時に先生が振り向いた。
そのまま先生の腕を引っ張り、僕の胸に寄せた。
「やっ・・幸村君っ・・」
慌てた声で僕を呼んだ。
「離さないよ。今日は恋人同士なんだから」
「でもっ・・」
「今だけでいいから・・」
なにもない闇の中で、満月だけが僕に笑っていた。