僕は先生を愛してます

「誰?松下先生?」


体を前に出し先生の後ろ姿を必死に見る七海。


「松下先生と・・なんかあるの?」

少し疑った表情で僕を見上げる。


「は?あるわけないじゃん?」


七海を突き放す。


「でも、今ずっと見てたじゃない?」


「見てねぇよ」


僕は廊下の壁に体をもたれさす。


「本当に?」

「あぁ」

「そうだよね。あんなおばさんとなんかあるわけないよね」


と大笑いする七海。


「授業遅れるから行くわ」


僕は七海に背を向ける。


七海の視線が痛い。







******************






―午後3時。




授業中に携帯のバイブが鳴る。


知らない番号だ。




“はい”なんて、出れるわけもなく、電話を無視した。





「今日の授業はここまで」


物理担当の教師が教科書を閉じる。


号令とともに教室が、ざわめきだす。
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