僕は先生を愛してます
「誰?松下先生?」
体を前に出し先生の後ろ姿を必死に見る七海。
「松下先生と・・なんかあるの?」
少し疑った表情で僕を見上げる。
「は?あるわけないじゃん?」
七海を突き放す。
「でも、今ずっと見てたじゃない?」
「見てねぇよ」
僕は廊下の壁に体をもたれさす。
「本当に?」
「あぁ」
「そうだよね。あんなおばさんとなんかあるわけないよね」
と大笑いする七海。
「授業遅れるから行くわ」
僕は七海に背を向ける。
七海の視線が痛い。
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―午後3時。
授業中に携帯のバイブが鳴る。
知らない番号だ。
“はい”なんて、出れるわけもなく、電話を無視した。
「今日の授業はここまで」
物理担当の教師が教科書を閉じる。
号令とともに教室が、ざわめきだす。