僕は先生を愛してます
30分ぐらいで喫茶店に着いた。
ドアを開けると、涼しい空気が舞っている。
店内を見渡し、秋月の姿を探す。
一点の視界に入った秋月の姿を捕らえ、そのテーブルに足を運ばす。
「お久しぶりです」
堅い挨拶を交わした。
「なにかご注文はありますか?」
若い女の店員が注文を取りにきた。
「コーヒーで」
秋月はコーヒーを注文し、既に口に運んでいる。
店内の穏やかな雰囲気とは別に、僕らの周りだけ異様な空気が流れる。
秋月は無言で鞄から、少し大きな封筒を取り出した。
それを僕の前に差し出す。
“どうぞ”と手で合図する。
僕はその封筒に誘われるかのように吸い込まれていった。
手に取り、封筒をあける。
何枚か写真が入っていた。
そこに映っているのは、僕と先生だった。
僕は何回も確認した。
写真に穴が開くんじゃないか、と思うほど凝視した。
だけど、それは紛れもなく僕と先生の姿で変わる事はなかった。