僕は先生を愛してます


僕は真っ直ぐ帰宅する気分でもなくフラフラと街を歩き、最終的には桜ヶ丘公園に居た。


闇の中で僕は一人ベンチに腰を下ろす。



涙は枯れる事を知らずに止まらない。



言葉も耳も目も全てなくなればいい。




感情なんて・・いらない。





~♪~♪~♪~



携帯が鳴った。


静寂した公園に響く音はいつもの倍になって聞こえる。



新着メールを開いて見る。


「えっ・・・」



僕は目を疑った。


いや、疑うしかできなかった。


そして周りを見渡す。




送信者は先生で、内容は【今、あなたの近くにいるわ】という不思議で理解しがたい文章だった。




だけど人が居る気配はない。



きっと、宛先を間違えたのだろう。と思い僕はまた携帯に目を落とした。




「・・っきむら君っ・・・」



微かにだが聞こえた。




“先生の声”が―・・。




もう一度、視界を広げる。




「せんせ・・・」





先生が息を切らしながら立っていた。
< 169 / 227 >

この作品をシェア

pagetop