僕は先生を愛してます
―午前8時過ぎ。
僕は1人で学校に向かった。
携帯には何着もの着信があった。
だいたいは両親からだ。
もうウンザリだ。
「聖夜、ちょっといい?」
教室に入り、席につこうとした瞬間、七海に呼ばれた。
七海の顔はいつもにない表情だ。
僕は屋上に連れていかれた。
「なに?」
「聖夜の好きな人って、松下先生?」
七海の見つめる瞳は獲物を捕らえようとする瞳に似ていた。
「は?」
あまりにも突然な事に言葉を詰まらした。
「パパから聞いたの。聖夜と松下先生がデキてるって。パパ達の中じゃぁ、みんな噂してるよ?ねぇ?嘘なんでしょ?」
―嘘・・・。
「・・じゃない。」
「え?」
「本当だよ。俺は先生を愛してる」
なぜか口から軽く飛び出した言葉。
「・・うそ・・」
七海は体を凍らせた。
「先生の婚約者って、あの秋月でしょ?聖夜、そんなことしたらヤバいんじゃないの?聖夜の病院だって・・」
「俺には関係ない。」
七海の掴んだ手を振り払う。
その時だった。
“幸村聖夜、今すぐ職員室に来なさい”
校内放送が入った。
「なんだ・・」
僕は職員室に向かう。
「ちょっと!!聖夜!!」
「バイバイ」
僕は七海に手を振った。