僕は先生を愛してます


僕らは電車に乗り、行く宛も決めずに身を任せた。


先生は強く僕の手を握り締めている。



「ごめんね・・」


謝りの言葉しか浮かばない。


「いいの」


先生は笑うこともなく、怒ることもなく、そう呟いた。


「本当に・・そう思ってる・・?」


「どうして・・?」



「だって・・、何の説明もなく俺・・」



「・・嫌なら・・後悔するなんて思うなら・・あなたに行こうって言われた時、一緒になんて行かないわ」


先生は少し笑いながら言った。




「先生になるの夢だったんじゃないの?」



「夢だったわよ。だけど今はあなたと一緒に居たい」



先生は僕を見つめた。




「俺も。あなたと一緒に居たい」




人混みもなく電車から見える景色は、都会から自然に変わろうとしていた。




未来なんて見えないけど、今を感じる事は出来る。



それが幸せだったとしても、不幸せだったとしても・・僕があなたを愛してるという真実は変わらない。
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