僕は先生を愛してます
そして、僕たちはホテルを後にした。
「本当に大丈夫?」
先生の体調が気になり、何回も同じ事を聞いている。
「大丈夫よ」
先生も同じ答えしか返さない。
「ねぇ、どこか安い部屋でも借りようか?」
弾んだ声で先生は言った。
なにもない自然の中に、僕らの声が響く。
「うん。でもここだとすぐにバレるんじゃない?」
秋月の顔・・
そして、両親の顔が浮かぶ。
「そうね・・」
一瞬、顔が曇る先生。
「大丈夫だよ。俺が先生を守るから。」
僕は強く先生の手を握った。
それから電車に乗り、ただただ身を任せた。
揺れる電車と僕らの気持ちが少しだけ重なった。
僕らの街から、だいぶ離れた街に辿り着いた。
前の街とは異なり、人気もあり空気が濁っている。
都会の空気を醸し出していた。
少し歩くと小さなアパートを見つけた。
「ここでいいんじゃない?」
先生は笑いながら言った。