お嬢様の執事様
クッキーの熱が冷めた頃、扉から軽いノックが聞こえた。
櫻井さんは「匂いに釣られた騎士様の登場ですわね」とにこり笑う。

「騎士様?」と私が首をかしげると、扉の向こうから「垣元です」という声が聞こえ、騎士様とは垣元さんのことだったのかと、妙に納得。

私がそうこう考えている間に櫻井さんが「どうぞ」とでも言ったのか、垣元さんが入ってきた。

「櫻井さん、お嬢様はこちらに……って、いらっしゃいましたね」

私を見て呆れたように、ホッとしたように笑う垣元さん。
私は「こんにちは」と、にこり笑った。

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