お嬢様の執事様
ガチャンと重い扉が開き、大きな窓から入ってくる光と比べ物にならないくらい強い光が、そこから入ってきた。

「お帰りなさいませ、旦那様」

「お帰りなさいませ」

「あぁ、ただいま」

巽が先に、旦那様に頭を下げながらお迎えの言葉を口にして、それに続くように俺もお迎えの言葉を口にした。

「旦那様、鞄を」

「悪いな」

旦那様は巽に鞄、俺にジャケットを渡すと、後ろを振り向いた。

「優姫、入りなさい」

ユウキ?誰だ??

俺は聞きなれない名前に首をかしげながら玄関の方を見てみると、

「…はい」

そこにいたのは長い黒髪に大きな目の、可愛らしい女の子だった。

その子は旦那様の傍まで小走りで来た。
小走りで来た姿は、まるで小動物のようで、俺は思わず和んでしまった。

「旦那様、そちらは?」

「あぁ。私の孫である、一条 優姫だ」

旦那様が巽に対し、彼女を簡単に紹介すると、彼女は少し表情を堅くしながらも、ぺこりと頭を下げた。

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