神様からのギフト
「何で、私の名前……」
そこまでしか言えなかったけど、彼は意味を理解したらしく、私を見て言った。
「だって、昨日教えてくれたよ? 牛乳くれた時に」
彼の言葉のひとつひとつにドキッとさせられる。
私の名前とか、昨日リトにあげた筈の牛乳のこととか。
何故彼が知ってるのか。
超能力?
いやいや、今はボケてる場合じゃない。
唖然とすることしか出来ないでいた私は、更にあることに気付いてしまった。
「その眼……」
見つめる先の彼の瞳は、緑と水色のオッドアイ。
それは、まさにリトの瞳と同じ色。
それを見た瞬間、昨日と同じ印象を受けた。
森と空、だと。
鍵がかかっていたのに、部屋にいたこと。
私の名前とリトを知ってること。
リトしか知らない、昨日牛乳をあげたことを知ってること。
リトと同じ、珍しい瞳の色。
……ネコ耳。
「本当にリトなの……?」
それならば、全てにつじつまが合う。
……いやいや、やっぱそれはないでしょ。
当然認めることなんて出来なくて、冗談半分でそう尋ねた。
しかし彼はそれに期待を裏切る、はにかみ笑顔で答えた。
「名前、ポチじゃなくてよかった」
ああ、神様。
これは私への最大級の嫌がらせなのですか?
日常の終わりを告げる鐘の音が頭の奥でうるさく鳴り響いていた。