神様からのギフト

「オレは、リトだよ。信じて、シイカ」

今度はどこか必死に話す彼は、やはり嘘をついているようには見えない。

そしてその瞳はとても寂しそうだった。

その眼差しに、どきりとした。


この目を私は知っている。

リトを拾った時、その時と同じ目――。












――この時の私はどうかしていたのかもしれない。

ただ単に頭が混乱してしまっていたのかもしれない。

非現実なことを無理やり正当化させることで、自分を納得させたかったのかも、しれない。

「――分かった。信じる、よ」

だけど何より、これ以上彼を疑うことが出来なかったんだと思う。


「……ありがとう、シイカ」

先ほどの表情とは打って変わって、はにかむように笑う彼を見て、何故だか胸が熱くなった。


信じてしまったその瞬間から、私のセカイはカタチを変えた。
< 29 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop