神様からのギフト
「……セーフ!?」
やっぱり走ると疲れる……!
荒い息を吐き出しながら教室のドアを開けた。
……なんかデジャヴのような気がする。
「あら残念」
「え!?」
「セーフよ」
美月のものであろうその言葉に、一瞬ドキッとして、それから大きなため息を吐いた。
「はあ〜……。良かったー」
「おはよう詩歌」
「おはよー……」
昨日と同じ展開じゃないことに安心して、ちょっと気が抜けた挨拶を返す。
すると美月は私の頭上に目線を遣って
「でもその髪はアウトね」
と言った。
意味を理解していない私に、美月は制服のポケットから小さな鏡を取り出して私の前まで持ってきた。
「……あ」
なるほど。
鏡に映る自分の髪を見れば、確かに髪の毛が重力に逆らって跳ねている。
今朝は色々バタバタしてたから、梳かすのを忘れていた。
「いつもよりひどいわね」
薄く笑われた。
慌てて手で押さえたけれど、放したらまた、ぴょこんと跳ねる。
もう一度押さえようと手を持っていった、その時。
「早く席につけ、馬鹿」
バコン、と頭に軽い衝撃が走った。