冬物語
「泣くなって綺魅。」
「…っ」
レイは優しい。
いつだって優しかった。
でもその優しさはみんなと一緒。
あたしはレイの特別じゃない。
気付いたらレイとの距離はなかった。
「綺魅……」
「…」
「綺魅…」
何度もレイがあたしの名前を呼ぶ。
「やっとお前と二人で会えたのに……なんでしゃべんねーの。なんで泣くんだよ。」
「…」
レイ…?
どうしたの?
レイの肩が震えていた。
「綺魅……―――
好きだ――――」