冬物語
「…っ」
レイ レイ レイ
何度呼んでもあなたはあたしの方なんか見てはくれなくて…、好きなのはいつだってあたしだけだった。
レイは今、彼女がいる。
あたしじゃない。
自惚れちゃいけない。
レイが好きなのは羽田さんなんだ。
首を横に何度も振る。
「…っ」
「綺魅。ずっとお前のこと好きだったんだよ!」
レイはあたしの肩を掴んで揺すった。
「…っ」
それでも首を横に振り続けた。
そして、レイの体をあたしから離す。
も う お そ い の
そう口を動かしたとき、頬を涙が伝った――
あたしはレイから逃げたの。
もう忘れるの。
ハル……
あたしは間違ってないよね?