冬物語


キーンコーンカーンコーン…


チャイムが鳴って、重たかった空気が少しだけやわらかくなった。

先生がドアを開けて、みんなが一斉に席に座る。

「……」
「……」
あたしもレイも無言で席に座る。


何かは言いたかった。
「ごめんね」とか
「嘘だよ」とか…

涙が出そうになった。
だけど上を向いて涙をこぼさなかった。


それはあたしなりの強がり。


自分への嘘。

それを隠すため。
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