冬物語
■小学校■
声
――時は戻り中学3年の冬
「また読んでるし。」
「しゃべらなうえに読者好きかよ。笑」
「こういうやつをインキャラっていうんだぜ♪」
またあたしの周りは笑いの渦。
初雪はもうすぎた。
アスファルトの上にうっすらと存在しているのは雪。
アスファルトの灰色が少し見えるくらい。
「やめなよ、そんなこと言うの。」
すぐ横から声が聞こえてきた。あたしは椅子に座っている状態から上を向くと、女の子が一人立っていた。
その子を見上げる。
「コイツのことかばうのか?」
「はいはい。インキャラはインキャラ同士仲良くやってください。笑」
一人の男子がそう言うとまた笑いが巻き起こる。
そして
その女の子と目が合う。
「なんか言い返しなよ!!」
「…」
できるもんならやってるさ。
でもできないんだもん。
声が出ないんだもん。
この気持ちが君にわかるの?
わからないでしょう。
だからそんなことが言えるんだ。