冬物語
「……」
一人の帰り道は初めてじゃない。
でもそのときは、
ただレイがサッカーで遅くなるっていう理由なだけで…、
次の日は普通に一緒にいたりする。
今回は違う。
ほんとに一人だ。
明日も明後日も。
その次も、ずっとずっと
一人だ。
「…っ」
泣いたって、どうにもならないことをあたしは知ってる。
何も解決しない。
でもどうしても涙が出てくるから、そのままにしておいた。
そのうち枯れる。
あたしとレイはただ
一緒に過ごした時間が
多かっただけで、
あたしたちはそおいうんじゃない。
付き合ってない。
気持ちも伝えてない。
恋愛対象外と言われた。
恋に発展しないと言われた。
あたしはレイに
気持ちを伝えてはいけない――