冬物語
見兼ねた男子が、
「だ~か~らっ!なんでしゃべんなくなったんだよ!!」
そう言うと、他の男子や女子たちも、
「そういや…。急にだよな。」
「確かにな。」
「いきなりだよね。」
と、ざわざわとしだす。
すると最初に言った男子が、
「俺のせい?…俺が始めあんなこと言ったからか?」
すごく悲しそうな顔をして、あたしとレイを見た。
あたしは顔を上げなかったけど、視線を感じるから、見ていることは確かだ。
「別にいいじゃん、しゃべんなくても。そんな仲いいわけでもね~し。」
あたしの俯いた顔を上げることは簡単だったみたいだ。
その一言で、あたしは顔を上げてしまった。
後から顔を上げたことに後悔。
レイがこっちを見てる。
目が合う。
あぁ、レイはこんなにも
あたしを拒否するのに…
あたしはどうしてこんなに
レイのことが好きなんだろう。
レイわこんなに
あたしと離れることを
望んでいるのに。