冬物語

見兼ねた男子が、
「だ~か~らっ!なんでしゃべんなくなったんだよ!!」

そう言うと、他の男子や女子たちも、

「そういや…。急にだよな。」
「確かにな。」

「いきなりだよね。」


と、ざわざわとしだす。


すると最初に言った男子が、

「俺のせい?…俺が始めあんなこと言ったからか?」

すごく悲しそうな顔をして、あたしとレイを見た。

あたしは顔を上げなかったけど、視線を感じるから、見ていることは確かだ。



「別にいいじゃん、しゃべんなくても。そんな仲いいわけでもね~し。」


あたしの俯いた顔を上げることは簡単だったみたいだ。


その一言で、あたしは顔を上げてしまった。


後から顔を上げたことに後悔。

レイがこっちを見てる。
目が合う。


あぁ、レイはこんなにも
あたしを拒否するのに…
あたしはどうしてこんなに
レイのことが好きなんだろう。

レイわこんなに
あたしと離れることを
望んでいるのに。
< 27 / 186 >

この作品をシェア

pagetop