冬物語
「前なんて忘れたし。」
忘れた。
…忘れたい。
忘れたくない…。
レイの笑った顔
一緒にいたこと……
全部、レイが好きだから。
「そうそう。俺らはさ、最初っから何もない!ってのを証明しただけじゃん?」
なんで笑いながら言ってるのか謎だ。
その言葉があたしを傷つけているのに。
そんなにあたしのことを見ていないということなのだろうか……
「じゃあさ…、わかったから前みたいに戻ってくれよ。」
「そうそう!何もないのはわかったから!!」
「なんか慣れねえしさっ」
「お前らが一緒にいないと俺らが落ち着かねえしよ。笑」
なんだそれ……
じゃあ最初っからあんなこと言わないでよ。
あんなこと言わなければ今頃レイと笑ってるはずなのに……
一緒に歩いて
笑って……
「なんだ、それ。
まあでもそうだな♪
前みたいに戻って、」
レイがそう笑って言うもんだからムカついた。
「戻るって何?」