冬物語

―――…

チャイムが鳴った
放課後になったことを指すチャイムだった。


ガタっ

「今日はサッカーの日じゃねぇし、一緒に帰るか?」


………

「…は?」

思わず聞き返してしまうくらい驚いた。

朝のあの空気から一切話しを交わさなかったのに、何普通に話しかけてきてるんだ、この人は…


「そういえばな!この前図書館行ったらお前の好きそうな本…」



「な、なんで一緒に帰んなきゃいけないの?」


レイの話しを遮って、あたしは口を開いた。


でも少し声が震えた。



「なんでって…」

「いみ、わかんないし……」


それ以上言えなくてあたしは逃げるように教室を出た。




なんであたしはこんな態度をとっているんだろ…
それもわからない。

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