冬物語
「やべっ もうすぐで授業始まんじゃん!俺行くわっ」
レイが時計を見て慌てだした。
「お―」

そしてレイが教室を出ていく。

あたしは無意識にレイの走っていく背中を見ていた。

「おい!」

「!」

横から声がした。

「何そんなにアイツのこと見てんだよ。」

!!……

「アイツにはちゃんと“彼女”っていう人がいること知ってるか?」

「……」
知ってるよ。
知ってるに決まってんじゃん。
レイはもう届かないところにいる。

「お前が例えアイツのこと好きでも、叶わない夢だな♪」

「……」
だから知ってるってば。


「おい、竹井~♪」
声が聞こえてきた。
「それくらいにしといてやれよ。笑」
いくつかの声。
「夢見させてやれよ。笑」

「そうだな。笑」
そして3人はあたしから離れていった。


知ってるよ。

好きなんて言えないことくらい。
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