冬物語


「……」

「…なあ、」

窓の向こうから声がした。
あたしが窓を開けないからか、そのまま話しだす。


「……」
あたしはその呼びかけに応答せず、ただ無言で布団から顔を出した。


「なんで俺のこと避けんの?」


………はぁ?!

なんでって…
そんなのなんであたしに聞くの?!

「俺のこともう忘れたの?」


あたしが無言でいるから、レイは言葉を続けた。


っていうか、忘れたんじゃないんだって!

忘れようとしてるんだって!


「俺といるのが嫌になったのか?」


それは、レイの方なんじゃないの?


シャッ ガラッ


あたしはカーテンと窓を開けた。
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