冬物語
■中学校■
真っ白
[レイ。]
[何?]
名前を呼ぶと、こっちを見るときの君の顔が好きだった。
[もし、私の記憶がなくなっちゃったらどぉする?]
[は?!いきなり何言ってんだよ?!]
冷たい言い方しながら、気にかけてくれるところが好きだった。
[もしも・・だよ?]
[ん~・・そうだな・・じゃぁ、俺が記憶を戻してやる!]
何の根拠もなく言いのける君の笑った顔が好きだった。
[ほんと?]
[うん、ほんと♪]
[約束だからね?]
[うん、約束。]
君の優しい笑顔が好きだった。
記憶なんて、なくならない。
でもレイの中で、記憶じゃなくて、
あたしの存在を消されたのかもしれない。