冬物語
「・・・。」
けど、何も言えないのが現実なのだ。
そして、時間が空き、一人の男子がこう言った。
「・・なんでお前、しゃべらなくなったの?」
気付いてほしかったわけじゃない。
だけど・・気付いてくれる人なんて今までいなかったから・・
同情して欲しかったんじゃない。
可哀相なんて、思って欲しくない。
だけどなんとなく・・寂しかったんだ。
もうみんな、私のことなんか気にとめていないんじゃないか、って。
「そうそう。卒業してからだよな?」
「レイと離れてから、急に静かになったし。」
二人の男子もそれに同意する。
中学に入って、私は何もしゃべらなかった。
ううん、〝しゃべれなかった〟だけど・・
声が出ないんだから、静かになって当たり前だった。
「中学入ってから、お前としゃべったことねぇよな?」
「俺もない。」
「俺も。」
そりゃあるわけない。しゃべれないんだから。
「・・・レイもか?」
「!」
そこにレイが出てくるとは思ってなかったから吃驚した。