冬物語
「お、俺今からレイに言って来る!」
そう言って走り出そうとした男子をあたしは全力で止めた。
「なんで止めんの?」
あたしは首を横に振る。
【もうおそいの】
今更なんだよ。
「じゃあ・・なんで俺らに話してくれたんだよ?」
「そうだよ。声出ないんだったら、ずっと黙っとくこともできただろ?」
「本当は自分の中だけで抑えれなかったんだろ?抱え切れなかったんだろ?」
「!!」
あたしは・・同情してほしかったわけじゃない。
悪いのはあたしだ。
誰かが悪いんじゃない。
【聞いてくれてありがと】
あたしは話した訳も話さずにそう書いて、・・・気付けば涙を流していた。
辺りの空気は真っ白だった。
まるで、私の心に霧がかかったみたいに・・