冬物語


どれだけ待っても


どれだけ振り返っても


レイは走ってきてはくれないのに



あたしは後ろを振り返る。


どれだけの期待をもって
今まであたしは振り返ってきたんだろう。


その期待を胸に、歩いてきたんだろう。



どれだけの間
この寒空の下――
あたしは毎年毎年 一緒に過ごしていたはずの冬空の下を


一人で歩き続けたんだろうか



あれからあたしの隣はずっと



寒いまま
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