冬物語


がちゃ

「あら、おかえり」

家に帰るとお母さんが出迎える。


何故かお母さんは、自分のせいであたしが声出なくなったんだと思ってる。



あたしが、出なくなったきっかけや理由を誰にも話さないからだ。


一度だけ、カウンセリングにどうしてもとお母さんに言われて行ったはいいものの、本当に何もしゃべらなかった。




だから周りはみんな、何故あたしが声が出ないのかわからない。




「今日どうだった?えらくなかった?」

気を遣う話し方をするようになった。

「……」

あたしは答えられないので、コクッと頷いた。



会話も続かないのが現状だった。





そしてお母さんは、あたしが驚くことを言った。














「あ、そうそう。来週お父さん帰ってくるわよ。」





軽々しく言ったお母さん。
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