冬物語




羽田さんは今、笑っているかな


レイは今、笑っているかな



私は今、笑えているかな・・?






―――

しばらく歩くと、小学校が見えてきた


「・・・。」


それを見ると、私は目をそらしたくなった


嫌いだ、こんな学校なんか。そんな感じ・・



グランドが見えた


「・・・。」


いつもあそこでレイはサッカーをしていた

同じサッカーのクラブの人たちや羽田さんと一緒に、笑ってて、走ってて・・


その姿がいつまでも私の頭の中で生きている

レイの笑った顔、意地悪な声

全部すぐ近くにあったはずなのに、すべて失ってしまった

そう。私にとって、レイがすべてだった。

レイがいてくれたから幸せで、平凡な日々を過ごせていたの。







私は今、笑えていないけれど、レイは今羽田さんと笑っているかな


< 84 / 186 >

この作品をシェア

pagetop