冬物語

だけどあたしは迷うことなく教室のドアを開けた。


ガラッと音がした方へ視線が集まる。


教室にいたのは思ったとおり3人だった。




一瞬まずいっという顔をしていたけど、すぐに開き直ったようだった。



あたしはそのまま一直線で自分の机に向かって歩く。



こそこそと何かを言って笑っている。


ちらっと3人を見た。


みんなサッカー部の人だった。




「聞こえた?」

あたしがドアの前まで来ると、声が聞こえた。


その質問はあたしに向けて言っているのだろうか……


わからないけど

振り返ることはできない。



あたしはそのままドアに手をかける、


「れ い」




……。



あたしはその名前に一瞬手を止めたけど、振り返らずにそのままドアを開けて教室から出た。




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