冬物語


なんであたしがレイの名前に反応することを知ってるのだろう。



「絶対アイツれいに惚れてんじゃーん!」

背中越しに聞こえた声は、またあたしを止まらせる。



違うもん。


違うもん馬鹿。




たとえ好きでも伝えられないあたしの気持ちなんてわかんないくせに……




早く遠くへ行かなきゃ…



行って、忘れるの。


何もかも全部。




そして忘れられる。
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