【短編】きみのたからものを
嗚咽をこらえながら、涙ぐんだゆうたくんのお母さんの話に耳を傾けた。


ゆうたくんの病気は、小児ガンだった。

胃にガンができていた。

見つけた時には手遅れで、余命3ヶ月と宣告された。


だが、ゆうたくんは治療に励み、それから6ヶ月の長くて短い時間を生き抜いた。

彼は闘病中、個室であったために友達が作れなかった。
しかし彼は言ったという。

「病院でお友達できなかったけど、おねえちゃんが友達になってくれたから、お家帰ってもさみしくないね。」

そして口癖だったのは
「早くおねえちゃんと遊びたいなぁ。」


だったという。

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