恋文
プロローグ
カタンッ──…
【そろそろ、アナタにも届くと思います】
男は、ポストを開けて黄ばんだ手紙を手にとった。
【古い便せんでつづった恋文(ラブレター)が…】
【昌春(まさはる)へ
お元気ですか?
あれから10年の月日が経ちました。私は10年前の私です。
ほらっ。10年前、2人で2人宛てに手紙を出したでしょ?
その手紙が今、アナタに届きました。
私たちは今一緒にいますか?
私はそうだったらいいなと思います。だって私は昌春のことが好きだから…ずっと一緒にいたいなと思うのです。
今の私たちと同じように──…】
カサッ……男は手紙をめくる。
そして……
男は思い出す───…