恋文


【この時、私たちはまだ16歳。あたしは、もう大人になれたと思ってました。
…だけど、あたしたちはまだ何も知らなくてただ、バカみたいにもがいて苦しんで大人になろうとしてただけだったんだよね──…
何も知らなかったのに……】





中庭にふわっと桜が舞う、

香の髪は風の流れに添いながら




ユラユラと桜と共に揺れた─…



『香っ!』


あっ─…、昌春。




『昌春…、何?急に呼び出して。クラス一緒なんだし、その時言えばよかったのに』


『……ったく、何も分かってねぇなぁっ..』

とかったるそうに頭を掻く昌春。





『は?』



理解不可能。



てか、喧嘩売られてる..?




『……や。何でもないよ』


何それ?変なやつ、



あたしのことわざわざ呼び出したくせに


分けわかんない…。




昌春は、一体何がしたいの?
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