恋文
【……そんなことも昔あったよね。あたしは、昌春を困らせるつもりで寝てる振りしてただけだったから、すごくすごく舞い上がってバカみたいに夢を見てたんだよ。
そう、ご察しの通り昌春の隣にいる夢ばかりを見てた……もちろん、正夢になったけどね。】
ミーンミーンミーン──…
夏の風物詩が、しきりに鳴き始めた季節。
あまりの暑さに汗がしみてくる……
『夏祭り??』
夏バテ気味の香。
『そっ!浴衣着て行こーよ』
それとは対照的な涼しい顔の愛奈。
『行く行く行くーっ!!』
香は、急に元気になってしまった。