恋文


『"は?"じゃなくて。あたしは、“美女”。昌春は、“王子様”だよ!』

香は、ルンルンとそう言った。



『……………………俺、王子なんだ』


『クラスの女子全員賛成で』


『…………嘘だろ?』


『なんで嘘なの?』


『いや……だってさ、おかしいじゃん』


『どこが?』


『どこが?じゃなくてさ…』

『だいたい、いつの間にそんなこと決めたんだよ』


『さっきの休み時間だよ。…ったく、昌春どこ行ってたの?』


『えっ……それはその..』

と昌春は、視線を泳がせてから


『さぁな。どこだっていいだろ?』

とぶっきらぼうに答えた。
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