僕を殺してください

「そろそろ最終決断を迫らねばならぬか…。」

シェゾは箱庭を見つめ、重い心境で呟いた。
メゾが信じた世界、本当は自分も勝ってほしいと願っていたのかもしれない。
そんなことを考えながら、リュークへと降りていく。

「あともう少し…。」

シェゾが向かった先には、森の中で薬草を摘むアルムがいた。
シェゾはアルムの目の前に降り立った。

「お前がアルムだな。突然で悪いが、しばし耐えろ。」

それだけ言うと、シェゾは驚いているアルムを余所に、右手でアルムの額を掴んだ。
右手から力を送ると、額に急激な痛みが走る。

「ぐっ!?ああぁぁ…!!」

アルムはシェゾの手を払い除けようともがくが、力及ばず激痛は全身へ広がった。

「うあぁっ!やめ…!」

そうしてやっとシェゾの手が離れ、痛みからも解放される。
アルムの額には、十字の焼け跡が痛々しく残っていた。

「お前に滅びの力を与えた。この世界の人間が己の欲に勝てなかったからだ。」

痛みの余韻によりアルムは膝をつき、息を整えるのに必死だった。
だがシェゾの声は脳内に直接響いてくる。
聞き逃さぬようにと。


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