僕を殺してください


「そんな言い伝えが…!?」

信じ難い事実と、この世界はアルムとリク王の手に委ねられていることを、大臣は認めざるをえなかった。

「アルムと言ったね。君はもう決断したなら、私もその意思に従おう。それが、君の為だと思うから。」

リク王はアルムの目を見つめ、そう言った。
彼の決意は本物だ。
自分が犠牲になることは、きっと厭わないのだろう。
だからせめて、その思いだけでも汲んでやらねば。

「事の実行は2日後、この謁見の間にて行う。それでいいかい?」

「はい。ありがとうございます…。」

アルムは心から感謝した。
自分の思いが通じ、そして気遣ってくれたリク王に。
そして再び深く頭を下げた。



悪魔に呑まれた魂の悲鳴が、聞こえてくるような気がした。
早く助けてと。
自分に残された2日間、どう過ごそうか…。
リリアはきっと、悲しむだろうな。
せめて自分の口から伝えなければ。




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