僕を殺してください


「どういうこと…?何で急にそんなこと言うのよ…。」

未だ信じられない様子のリリアに、胸が苦しくなるアルム。
こんな顔をさせる自分は最低だ。

「今朝、僕のところに神様来たんです。そしてこの世界が試練に勝てなかったから、僕に破壊の力を与えられた。リュークが滅ばない方法は、僕がリク王に殺されることだけ…。」

アルムはリリアの目を見つめたまま、泣き出しそうな表情をしていた。
その顔がとても切なく悲しくて、リリアは耐え切れず視界を下げた。

「…何よそれ。」

しばらくの間沈黙していたリリアは、低い声で呟いた。

「え?」

「なんでアルムが犠牲にならなきゃいけないの!?だったらこんな世界、滅んでしまえばいい…!!」

リリアは目にいっぱいの涙を浮かべて叫んだ。
アルムは驚きに一瞬目を見開いたが、すぐ苦笑いになる。

「そんなこと言わないでください。僕はここが好きなんです。僕の命で救えるのなら、なんの躊躇いもありません。」

「だって…こんなのひどすぎる…。私達はどうすればいいの?アルムが死んだらおじ様もおば様も悲しむわ!」

目に溜まった涙を零しながら言うリリアに、アルムは優しい笑みを見せた。

「そうかもしれません。でも父さんや母さん、リリアとおばさん達を失くしたら、僕だって悲しい。それだけじゃない、リューク全ての人命が僕に委ねられているんです。」

リリアの涙は止まらず、アルムは少し困った。
やっぱり言うべきじゃなかったのか…。
でもきっと自分が死んだ後、リク王が自分の死を世界中に知らせるだろう。
なら、自分から言う方がきっと、後悔しない。

「だけど…アルムが死ぬなんて嫌よ…。私、アルムが好きなの…!」

しゃくりながら泣き出したリリア。
アルムの頬が、熱を持って赤くなる。

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