僕を殺してください
リク王の挨拶が終わり、国内放送は終了した。
国民達は再び日常へと戻り、1人の青年によって生かされたことを感じながら、1日を過ごした。
ガゼル達は城へ赴き、リク王への謁見を願い出た。
アルムの家族と家族になるはずだった者だと告げると、中庭へと案内された。
「アルム君のご家族の方だそうですね…。この度はなんとお詫びしたらよいか…。」
噴水の前に丸い透かし彫りのテーブルと椅子を置き、薔薇の香りに包まれながら、ガゼル達はそこに座る。
「なぜ詫びるのです?あなたは悪くなりませんのに。」
ニコルは立ったまま腰を曲げ、頭を下げているリク王に優しく言う。
ガゼルとリリアの母は些か釈然としない表情だが、ニコルに同意した。
「そうですよ。アルムもリク王に感謝していました。だから顔を上げてください。」
リリアもそう言い、席を立ち空席へとリク王を促す。
「ありがとうございます…。」
目を潤ませて言うリク王を、誰が責められるだろうか。
王位を継いだばかりの陛下には、やはり辛い出来事だっただろう。
大臣は側で謁見を見守りながらそう思った。
自分よりずっと若いリク王を見ていたガゼルは、はっと気付く。
「あんた…ミエルの息子か!?」