僕を殺してください

丁寧な言葉遣いと態度、父親に似た二枚目が女性の心を引き寄せていた。
リリアは自分で言いながら、胸中では不安だった。
アルムが誰かに想いを寄せてしまうかもしれない。
自分ではない誰かに。

リリアはアルムが好きだった。
口にした事はないから、アルムはこの気持ちを知らない。
伝えたら、どんな顔をするだろう。
想像したら、なんだかおかしかった。
近いうちに打ち明けてみようか。
リリアは鼓動が高鳴るのを感じ、紅茶を口に含んだ。

「ところで、2人はいつになったら付き合うのよ。」

のんびりパンにジャムを塗りながら、リリアの母は言った。
言い終わると同時に、2人の口から紅茶が勢い良く吹き出た。

“やだ、汚いわねぇ2人してー”と、台布巾を取りにキッチンへ向かう母。
2人の顔は真っ赤に染まり、摘みたてのリンゴといい勝負だった。




鳥の鳴く声に合わせて唄えば、穏やかな気持ちになれる。
風に舞う落ち葉と共に踊れば、心はずむ気持ちになる。
何をしたら、どんな気持ちになるだろう。
どこへ行けば、巡り逢えるだろう。

どうすれば、2人は結ばれたのだろう…。


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