俺はキミの生徒






「あ…2人が出て行った。」


加奈さんが言う。



「どうやら決着、ついたみたい。」

今、加奈さんはどんな想いなんだろう。


自分の姉貴が失恋。

幼なじみが婚約。


きっと、泣きたいくらい複雑な気持ちなんじゃないのかな…




『加奈さん…あれって…』


まもなく見えた2つの陰。


大きな陰と見覚えのある陰。



「慎くん…お姉ちゃん…」


ポツリと加奈さんが呟いた。


うちの部屋があるのは2階。

そのせいで途切れ途切れだが、声が聞こえてきた。




「慎くん…あたし…好き…」



震えた声。

加奈さんの息を呑む音も聞こえてきた。



小さい方の陰が大きい陰に近づいていく。


そして…小さい陰の持ち主、柚木ちゃんは大きい陰を抱きしめた…









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