俺はキミの生徒
気づいたら、口が勝手に動いてて。
でも今さら撤回なんてできるはずもなく。
黙って柚木ちゃんの言葉を待った。
「修司は…優しすぎるんだよ」
え?と、言って柚木ちゃんの顔を見た。
「そんなに…優しくすると…私…甘えちゃうよ…」
頬に流れた雫。
街灯に反射してキラリと光った。
俺は少しずつ柚木ちゃんに近づいて行く。
『甘えてもいい。
今、ここにいるのは教師、木下柚子じゃないだろ。
俺は生徒、春谷修司じゃない。
だから…甘えたいだけ甘えればいいよ』
柚木ちゃんが手で顔を覆った。
俺はそんな柚木ちゃんを包み込む。
スッポリと俺の腕の中に収まるサイズ。
柚木ちゃんは何も言わず、ただただ泣いていた。