俺はキミの生徒





「ホントは…悔しかった。

ホントは…すごく、悲しかった。


でも慎くんには幸せになってほしかったから…私、頑張ったんだよ」



『うん』


涙がだいぶ収まったのか、柚木ちゃんは話し出す。

俺の腕の中で。



「でも…抑えられなかった。

慎くんが好きだってキモチ、抑えられなかった。


ホントは言わないつもりだったんだ。

だってそんなこと言ったら慎くんは困るだろうし、関係は崩れちゃうでしょ?


だから…隠しておくつもりだったんだ」



『うん』



俺って…バカなのかな。

柚木ちゃんにいいように利用されてるバカな男なのかな。


ふと、そんなことを思った。




「さっきね、慎くんに好きだって言ったの。

そしたらね、


柚子の幸せを願ってるって言われたんだ。

もう俺のこと追いかけるなよって言われたんだ。


きっと…慎くん、気づいてたんだよね。

私が想いを寄せてること」



柚木ちゃんはそう言ったきり、また黙り込んでしまった。









< 127 / 306 >

この作品をシェア

pagetop