俺はキミの生徒
「今の言葉聞いて、いったい何人の子がショックで泣いちゃうんだろう…」
志帆ははぁ…と呟いて髪の毛を掻いた。
別に今の言葉聞いてもそんなショック受けるようなヤツ、いないだろ?
「付き合うのに意味があるかないかで言われるとあたしも困るけど…
けどさ、そういうのって付き合ったあとに分かるものじゃない?
だから付き合う前に意味がどうとか言ってたらいつまで経っても彼女なんてできないよ?」
『まあ…確かに…な』
志帆の言いたいことはなんとなく分かる。
でもだからって好きでもない人と付き合うのもどうかと思う。
「とりあえず、好きな人見つけたら?
教師なんて叶わない相手じゃなくて、
もっと身近な人で、ね?」
志帆はそう言って黒板を睨んだ。
やっぱり、分かってたんだ、志帆は。
俺が柚木ちゃんを好きだ、って。
今のはきっと、諦めた方がいいって助言。
志帆。
諦められるのなら、とっくに諦めてるよ。
諦めきれないから、俺はまだ好きでいるんだ。
柚木ちゃんを諦めきれたら、どんなに楽だろう。