俺はキミの生徒
突然後ろから聞こえた声に俺は戸惑う。
千絵先輩の顔を見ると切なげな瞳がもっと色濃くなっていた。
「………りゅう…じ…
なんで…ここに…」
千絵先輩の細い声が耳に届く。
そう。
俺の後ろから千絵先輩を呼んだのは紛れもなく、千絵先輩の好きな人…柴田竜司先生。
『お前のこと…探してたんだ』
俺はどうすることもできなくて。
ただそこに立ち尽くしていた。
『お前が手伝いに行ったクラスに顔出したらどっか行った、って聞いて。
いろんなヤツに聞いたら屋上のほうに行ったって聞いたから。
きっと鍵、勝手に借りて屋上にいるんじゃないかって思ったから』
柴田先生はそう言いながら千絵先輩に近づく。
「…さっきの話、聞いてた?」
今にも瞳から涙が溢れそうな千絵先輩。
それもそうだろう。
好きな人に。
1番聞かれたくない相手に聞かれてしまったんだから。
『なぁ…佐々木。
お前は…本気か?』