俺はキミの生徒
その日の夜のことだった。
いつものように夜風に当たるためにベランダに出た。
そうすると隣から少しだけ見える白く、細い腕。
あの腕は…加奈さんじゃない。
加奈さんはもっと色が黒い。
ってことは…
『…柚木ちゃん?』
声をかけると案の定
「修司?なんか久々じゃない?」
と、柚木ちゃんの声が聞こえてきた。
会えない、と思っていた日にまさか会えるだなんて。
少し驚いた。
『教室で会うけど、ほとんど話さないもんな』
顔を合わせても学校じゃあまり話さない俺と柚木ちゃん。
最近じゃ生徒会の仕事も一段落して、
授業以外じゃほとんど顔も合わせない。
「そうだね~
あたし自身、ここに立ってるのが久々だしね」
『今、忙しいの?』
そう聞くと柚木ちゃんは一瞬、黙りこんだ。
「まあ…ちょっと、いろいろ…ね?」