俺はキミの生徒




なんだよ、今の言い方。

あたかも子どもには分からない大人の事情、みたいな歯切れの悪い言い方は。



少しイラッとした。




『ベランダに出るのも惜しいくらい、忙しかった?』


「うー…ん…そう、かなぁ…」


相変わらず歯切れが悪い。

奥歯に物がはさまった言い方をするなんて柚木ちゃんらしくない。




「そう言えば、あたしが仕事してる間、加奈がベランダに長時間いたけどもしかして修司と話してた?」


柚木ちゃんの喋り方がガラリと変わる。



『あ…うん。

多分、そうだと思う』


いつもベランダ越しに1時間は話し込むからな。

なんだかんだ言いながら加奈さんは姉貴みたいで頼りにしてる。




「そっかぁ…

2人、仲良いよね」


少しだけ残念そうな声で呟く柚木ちゃん。

なんだかそれが嬉しくて。


って俺。

大丈夫か。


なんで柚木ちゃんが加奈さんと俺が仲良いからって残念がるんだよ。

意味分かんねぇーだろうか。



自分で自分にツッコみをいれて調子にのらないようにする。








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