俺はキミの生徒
『今日、加奈さんは?』
たいてい、いつものこの時間ならベランダに出てくる加奈さん。
「今日は飲み会だって。
だからあたし1人だよ」
飲み会か。
そう言えばこの間、そんなようなこと言ってたっけ。
「ね、修司」
しばらく沈黙が流れた。
そしてその沈黙を柚木ちゃんが破る。
「もし…もしあたしが転勤したら…どうする?」
『………………』
まさか柚木ちゃん自らその話を振ってくれるとは思わなかった。
『やっぱり…転勤、すんの?』
実は何週間か前からあるウワサが流れていた。
「修司もウワサ…聞いたんだ」
それは新から聞いたんだが
柚木ちゃんが来年度から転勤するかもしれない。
と、いうウワサが学校中に広まっていた。
それが事実かどうか、本人に確認したかったんだ。
でもすれ違ってばっかりでなかなか聞けなかった。