俺はキミの生徒
「ちょっとトイレ行ってくるぅ~」
フラフラな加奈さんは立ち上がる。
「危ないよ~加奈ぁ~」
柚木ちゃんが急いで加奈さんを支え、2人でトイレへ行った。
『……修司ぃ…』
新はパッチリと目を開けて潤る目で俺を見る。
『俺…聞いちゃいけないこと…聞いちゃった…?』
『うん』
即答する俺。
絶対にきいちゃいけないことだった。
ま、今さらどうにもできないけど。
『だってさ~俺、トイレ行きたくなってさ~
起き上がろうとしたら柚木ちゃんの声が聞こえて~
それで…加奈さんの言葉も聞こえちゃって~…
どうすればいいんだよ…』
新の酔いは完全に醒めているようだ。
あやふやだった呂律はまともになっていて。
『それは…お前次第じゃね?』
俺の言葉を聞いて新は起き上がった。
それとほぼ同時に柚木ちゃんと加奈さんが戻ってくる。
「あれ?佐藤くん、起きたの?」
そんな柚木ちゃんの質問には答えず、新はリビングを出て行った。
「修司、佐藤くん、どうしたの?」
『さぁ?』
きっと、今考えてる。
自分がどうすればいいのか。
でもとぼけたフリをした。
ま、加奈さん目の前にして言えるワケがないんだけどな。